
“ビートルズのジョン” が “ジョン・レノン”を取り戻した街、彼が生涯最も愛した街、そして彼の命を奪う舞台となった街、ニューヨークをキーワードにジョンの後半生を追った映像の決定版。オノ・ヨーコの全面的な協力、監修のもと、71年9月から80年12月まで約9年間過ごしたニューヨークの時代を本人のインタヴュー発言はもちろんのこと、ヨーコやエルトン・ジョンらの最新インタヴュー、そして信頼していたプロデューサー、ジャック・ダグラスを始め活動を共にしたミュージシャンたち、さらに友人でもあったカメラマン、ボブ・グルーエンなど、真にジョンの身近にいた人たちの証言によって鮮やかにジョンの生活が迫ってくる映画だ。

ビートルズの解散騒動をめぐってのゴタゴタ、ジョンとヨーコのベッドインといった平和活動を通じて巻き起こるヨーコ・バッシングにすっかりイギリスに嫌気がさしたジョンが移住したのは、どこか故郷リヴァプールを思わせる街、ニューヨークだった。そしてその国はヴェトナム戦争の真っ最中であり、激しい衝突を繰り返す反戦運動が広がりジョンはその動きに巻き込まれていく。
積極的に平和運動の先頭に立つこともあれば、不当逮捕された者への抗議を曲にして表すこともあったが、若者たちに大きな影響力を持つジョンの行動は政府の神経を刺激し、国外退去を命じられ長い裁判闘争が行われることになる。
その後、ジョンや仲間たちが応援した大統領候補が敗れるといった政治的な挫折感もあってのヨーコを前にした浮気がきっかけで二人は<ロスト・ウィークエンド>と呼ばれる別居生活を送る。ジョンはロサンジェルスに移り住み荒れた生活を送るがその後、エルトン・ジョンのコンサートでの再会を経て和解、待望の子供を授かったことを期にジョンはハウスハズバンド、専業主夫の生活へと入る。

こうした激動の時代を数多くのプライベートな未発表映像やチャリティ・コンサート、ソロ時代ではもっとも充実していた本格的なライヴの<ワン・トゥ・ワン・コンサート>、積極的に出演していたテレビ番組の豊富な映像などによって浮かび上がらせていく。さらに再び音楽の場に戻り、いかにジョンが張り切っていたか、そして初のツアーなど多くの計画を構想していたかを描いていく。
これほど事細かく、また全体的にソロ・ジョンの人生を映像で追った作品はなかった。ヨーコにとって絶対に触れられたくないはずの浮気の場面や別居の件もしっかりと語られるし、「ダブル・ファンタジー」など、その時期に作られたアルバムの収録曲の未発表テイクやデモ・トラックなど珍しい音が流される。監督は名作の誉れ高い「The Battle Over Citizen Kane」のマイケル・エプスタイン。製作は「ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホーム」「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」のジェシカ・レヴィン他。
まるでジョンの横にいて70年代を生きる疑似体験をさせてくれる映像作品がこれだ。全ビートルズ・ファン、ジョン・ファン、そしてあの時代に何が起こっていたのか知りたい人すべてが必見の映像だ。